POSTMAN BEST PRACTICES

内部APIコラボレーション

Building quality APIs has never been more important. At Postman, we believe being API-first is the key to innovation in the AI era. We built Postman Best Practices to share the foundational ideas Postman is built on and enable you to do your best work.

多くの組織が直面する課題のひとつに、「APIスプロール(APIの乱立)」があります。チームが既存のAPIを見つけられず、同じようなAPIを重複して構築してしまいます。また、チームごとに独立して作業することでAPIが徐々に分岐し、整合性を失っていくことも少なくありません。

この章では、こうした問題を解決し、重複作業を減らし、開発者のオンボーディングを加速させるためのコラボレーションパターンを紹介します。これらの手法は、効果的なAPIガバナンスを実現する基盤づくりにもつながります。

Abhinav Asthana

Abhinav Asthana

Postman CEO and Co-founder

Ankit Sobti

Ankit Sobti

Postman Field CTO and Co-founder

エンジニアリング組織でよくある課題は、チーム同士が同じようなサービスを知らずに並行して作ってしまうことです。開発者が既存のAPIを「見つけられない」「理解できない」「信頼できない」状態では、新たにAPIを作る方が早いと判断してしまいます。この連携不足を解消するには、APIの実際の利用方法を基準に整理することが重要です。

まずは、APIの基本的な2つのタイプ(個別チーム向けのアプリ専用APIと、複数チームが利用できる再利用可能API)を理解しましょう。多くの企業では、この2種類が混在しています。そして、それぞれに適したコラボレーションアプローチが求められます。

アプリ専用APIとは、特定の利用者(例えば、特定のUI、モバイルアプリ、または社内統合システム)のために構築されたAPIのことです。これらのAPIは、単一のチームまたはモノリシックなコードベース内で開発されることが多く、即時的なプロジェクト要件に応えるために設計されています。そのため、利用するアプリケーションと密接に結びついています。

再利用可能APIとは、複数の独立したチーム、パートナー、または外部開発者が利用できるように設計されたAPIです。これらのAPIは「セルフサービス型」として提供され、他チームがAPI提供者と直接やり取りしなくても、容易に発見・理解・統合できることを目的としています。

アプリ固有APIと再利用可能なAPIについて詳しくは、「APIの種類、ワークスペース、コラボレーションモデル」の章をご覧ください。

コラボレーションパターン

組織の構造や成長段階によって、最適なコラボレーションの形は異なります。適切なパターンを採用することで、重複作業をなくし、APIの発見性を高め、チームがスピードを維持したまま効率的に開発を進めることができます。ここでは、よく見られる4つの代表的なコラボレーションモデルを紹介します。これらは組織規模やAPI戦略の成熟度に応じて選択・発展させることができます。

シングルチームでのコラボレーション:チーム内で完結するアプリ専用API

このパターンでは、各チームが自分たちのアプリやサービス向けにAPIを構築します。チームは独立して作業し、他チームとのAPI共有は最小限にとどめます。スピードとチーム内の自律性を重視する開発スタイルです。

このパターンが適しているケース:

  • 各チームが明確に分かれたプロダクトやサービスを所有している中小規模の組織
  • 共通サービスに依存せず、チーム内で迅速なイテレーション開発を行いたい場合
シングルチームでのコラボレーション。イラスト。

実践ガイド

チームごとに専用のワークスペースを設定し、APIs、ドキュメントテストモックサーバーモニタリングを一元管理します。チーム間で統一されたワークスペース運用ルールを整備しましょう。名前付け規則やドキュメント標準を明確にすることで、過度な管理をせずとも、各チームが互いの取り組みから学べる環境を作れます。可視性は基本的にオープンに保ち、偶発的な重複や知識の分断を防ぎましょう。

ヒント:Native Gitを使ってPostmanをGitリポジトリに接続しましょう。Postmanデスクトップアプリを使用するチームでは、ローカルのGitリポジトリに接続したプロジェクトワークスペースを使用します。Postmanアセットはコードとともに/postmanディレクトリに保存され、Gitのブランチを使った開発フローに沿って、コミットごとにバージョン管理されます。

推奨プラクティス

  • リアルタイムで共同編集やコメントができる共有チームワークスペースを活用する。チームは、コレクションや環境を共有し、ワークスペース上で直接フィードバックを交わすことでスムーズに協働できるようになる。
  • Gitと連携して、コードと同じブランチ上でAPIの作業を進めます。また、SlackJiraとも連携し、APIに関する作業を既存の開発プロセスに組み込みます。

多くのチームでは、本番用APIとは別に個人用の「開発者ワークスペース」を併用し、実験的な作業を分離しています。

代表的なユースケース:

  • レガシー刷新:既存ツールからPostmanへ移行しつつ、チームごとの独立したワークフローを維持する場合
  • UI主導型アプリケーション:UIの変更頻度が高く、API呼び出しが頻繁に行われる環境
  • クロスファンクショナルチーム:プロダクト・エンジニア・QAが同じワークスペースで共同作業し、リリース品質を高めるケース
  • チーム単位の所有モデル:各チームが独立してアプリ専用APIを持ち、他チームとの再利用要件が少ない場合
  • 縦割り型プロダクト構造:プロダクト領域ごとにAPIを所有・運用している企業構造
Quote
Postmanの導入により、Visma社では組織全体でポジティブな相乗効果が生まれました。チーム間のコラボレーションがシームレスになり、これまで会議で行っていた調整作業が不要になったことで、業務効率と生産性が大きく向上しました。"
Mili Orucevic氏, Chief Software Quality Engineer, Visma

チーム間コラボレーション:再利用可能APIとディスカバリーハブ

このパターンでは、各チームが自分たちのワークスペースを維持しながらも、再利用を目的としたAPIを共有するための「ディスカバリーワークスペース」を併用します。APIの提供チームは、自分たちの再利用可能APIを共有スペースに公開し、利用チームは必要なAPIをフォークして自分たちのワークスペースで活用します。

このパターンが適しているケース:

  • 一部のチームが共通サービスを提供し、他チームがそれを利用するような成長中の組織
  • 再利用可能なコンポーネントを持ちながらも、各チームが一定の自律性を保ちたい場合
  • 単一チームでの開発から、プラットフォーム志向の開発体制へ移行しつつある段階
チーム間コラボレーション。イラスト。

実践ガイド

APIを提供するチームは、自分たちの再利用可能API専用のワークスペースを作成し、ドキュメント、オンボーディングガイド、変更管理プロセスを整備します。このワークスペースはセルフサービス型として設計し、利用チームがコレクションをフォークしてAPIを理解・統合できるようにしましょう。さらに、コントラクトテストを導入し、破壊的変更が利用チームに影響を与える前に検出できる体制を整えます。

推奨プラクティス

代表的なユースケース:
  • 共有サービスチーム:認証、決済処理、通知など、複数のプロダクトチームが利用するサービスを提供する場合
  • プラットフォームAPIチーム:ロギング、モニタリング、データアクセスなど、基盤機能を他チームに提供する場合
  • 統合ハブチーム:外部システムとの接続を行うコネクタやアダプタを構築し、複数のプロダクトチームで利用する場合

使いながら理解するのが一番です。Postmanで作業内容を共有する →

プラットフォーム全体でのコラボレーション:ガバナンスを備えた集中管理型API

このパターンでは、中央のプラットフォームチームが組織全体で利用されるAPIを作成・管理します。これらのチームはエンドユーザー向けのアプリを構築するのではなく、共通サービスを提供することに専念し、重複開発を防ぐためのガバナンスプロセスを確立します。

このパターンが適しているケース:

  • 明確なAPIガバナンス体制を必要とする大規模組織
  • 複数の事業部門にわたり標準化を求める企業
  • コンプライアンスや規制対応のためにAPIの集中管理が求められる企業
プラットフォーム全体でのコラボレーション。イラスト。

チームが再利用可能なAPIを作成・利用する様子を示す図

実践ガイド

プラットフォームチームは複数のワークスペースを横断して作業しながらも、すべてのAPIを Private API Networkで一元管理します。これにより、APIの発見性を高め、重複開発を防止できます。

Private API Network。イラスト。

複数のディスカバリーワークスペースを経由してAPIを共有する様子を示す図

セルフサービス型の利用を促進するために、充実したドキュメント、使用例、オンボーディングガイド、そして自動化されたテストを用意しましょう。これらのAPIは多くの利用チームに依存されるため、明確なSLA(サービスレベル合意)、変更管理プロセス、専任のサポート体制を整備し、製品として運用することが重要です。可視性は「デフォルトでオープン」にすることを推奨します。RBAC(ロールベースアクセス制御)を活用してアクセス権を柔軟に管理しつつ、探索性と透明性を維持しましょう。

ヒント:API Catalogを、組織内のAPIに関する単一の信頼できる情報源として活用しましょう。Postman Enterpriseプランでは、API Catalogを使って、組織内でGitと接続されているすべてのAPIとサービスを、ガバナンスの適用状況、テストカバレッジ、稼働状況を示す指標とあわせて包括的に把握できます。API Catalogの詳細は、ドキュメントをご覧ください。

推奨プラクティス

  • アラートとモニタリングを連携し、障害やパフォーマンス低下を即座に検知できるようにする
  • SlackやJiraとのPostman連携を設定し、APIの変更・非推奨化・メンテナンス予定を利用チームへ自動通知する

代表的なユースケース:

  • エンタープライズ向けプラットフォームチーム:社内のユーザー管理、データアクセス、セキュリティなどを共通APIとして提供
  • 規制産業:金融・医療など、厳格なAPIガバナンスとコンプライアンスが求められる業界
  • 大規模標準化プロジェクト:数百のチームが共通機能を一貫した方法で実装する必要がある企業

API開発を組織全体で進める準備はできましたか?Private API Networkを設定する →

プロジェクト単位のコラボレーション:部門横断型の一時ワークスペース活用

このパターンでは、チームが短期間の目的でワークスペースを作成し、ブレインストーミング、ドラフト作成、デモ、または初期段階の取り組みを進めます。これらのワークスペースは、恒久的なチームワークスペースに移行する前の「ステージング領域」として機能します。

このパターンが適しているケース:

  • 複数のチームや部門が関わるクロスファンクショナルプロジェクト
  • 検証的なAPI開発やPoC(概念実証)
  • 新しいチームメンバーのAPIワークフロー教育・トレーニング
  • 他のコラボレーションモデルへの移行期間中の一時的な活動
プロジェクトベースのコラボレーション。イラスト。

実践ガイド

これらのワークスペースは、不要な情報を増やさないようデフォルトで非公開に設定しましょう。明確な運用期間と「卒業基準」を定め、作業が完了したら恒久的なチームワークスペースやディスカバリーワークスペースに移行するか、不要なものはアーカイブします。

ヒント:Native Gitを使って、Postmanアセットをコードと一緒に管理しましょう。期間が決まっている部門横断型のプロジェクトでは、フィーチャーブランチに接続したプロジェクトワークスペースを使用します。プロジェクトが完了したら、コードとともにブランチをマージまたはアーカイブできます。これにより、Postmanアセットと実装の履歴をまとめて管理できます。Native Gitの詳細は、ドキュメントをご覧ください。

プロジェクトワークスペースは、ステークホルダーへのデモ、外部パートナーとの共同検証、新しいAPI設計手法の試験などにも活用できます。これにより、リスクを抑えながら新しいアイデアや統合方式を検証でき、安全な学習環境を提供します。

推奨プラクティス

  • SlackやJiraを連携させ、プロジェクトの進捗を関係者に共有するとともに、全体のプロジェクト管理プロセスとスムーズに連携させる。
  • 古いプロジェクトが蓄積しないよう、明確なアーカイブプロセスを設定する。多くのプロジェクト作業は、一定の期間内に恒久的なワークスペースへ移行するか、整理・削除することが望ましい。

代表的なユースケース:

  • 外部パートナーとの統合開発:ベンダー、顧客、または技術パートナー(例:決済処理・認証プロバイダ)との共同API構築
  • 期間限定プロジェクト:システム移行、買収統合、大規模リリースなど、明確な期限を持つ取り組み
  • プロトタイプ検証:本実装前にステークホルダーとAPI設計を検証する段階

実験や検証のためのワークスペースをすぐに作ってみましょう。ワークスペースを管理する →